【読書メモ】売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。
- 作者: 坂本悟史,川村トモエ
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2010/05/14
- メディア: 単行本
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楽天にてマーケティングやECコンサルタントを務めていた著者が、ネットショップ運営におけるノウハウを体系的にまとめた書籍。 大きくは集客・接客・追客の3大施策について、具体的な手法を紹介している。ショップの規模や特性ごとに施策方法が紹介されているので、全てを網羅しないでも、段階ごとに実施すべきアイデアとして参考になる。
以下、参考になった箇所の読書メモ。
ネットで売るための3大施策は「集客」「接客」「追客」
売れ続けるショップになるためには、店舗に集客して、売れるよう接客し、追客(リピート促進)することが必要。これは実店舗と同じであり、駅前でチラシを配って集客をし、販売員やPOPによる接客で商品を紹介し、会員登録した購入客にDMを送ってリピートを促すといった施策と同じこと。
優先順位としては、まずは集客の強化が必要。新規立ち上げのネットショップで、ネームバリューもないような場合、そもそもアクセス自体がされない。SNSやオウンドメディアなどの地道な更新も必要だが、コストを抑えつつも広告を出して集客し、効果測定をしていく必要がある。
ネットショップのユーザーは、大きく4つの段階に分けられる
まずは、店舗の存在自体も知らない潜在客。何らかのきっかけで訪問した来店客、ページを見て満足し商品を購入した購入客、そして商品への満足や何かのきっかけでリピート購入をした継続客の4段階に分けられる。
売上を増やしていくには、潜在客に対して継続的にアプローチし、一人でも多く来店させて、購入客と継続客の人数を増やしていくことになる。そもそも、潜在客を多く集客しないことには次の段階に進むことすらできないので、継続的に集客することに力を入れることが重要。
- ニーズが不明確な潜在客
↓ 集客 - 商品案内を見る来店客
↓ 接客 - 一度は買った購入客
↓ 追客 - 売上を支える継続客(リピーター)
この4つの段階におけるユーザーの心理状態を踏まえた施策が必要になる。潜在客の心理としては「注意力散漫」。店舗のことなど知らないが、関連するキーワードで検索し、潜在的なニーズはあるが自覚はしていない状態。キャッチコピーなどでニーズを顕在化させる必要がある。
来店客の心理状態は「せっかち」。検索結果や広告から来店しても、興味を引かず、自分に関係があると思わなければすぐに直帰してしまう。店舗詳細ページにおいては、冒頭から興味を持たせて読み進めてもらうような掴みが必要になってくる。
購入客の心理状態は「忘れっぽい」。よほど思い入れがなければ、どこの店舗で購入したかなど覚えてはいない。だからこそ、初回購入客には、リピート訪問をする理由付けを考えなければいけない。次回の購入で利用できる割引クーポンなど、直接的なメリットが感じられなければ訪問されないだろう。メルマガも誰にでも言えるテンプレ配信ではなく、購入客の状態(初回購入か継続客か、購入した商品のカテゴリなど)に応じた内容が求められてくる。
継続客の心理状態は「浮気性」。一度購入したとしても、他の店舗にも同じような商品があれば、すぐに乗り換えられてしまう。リピーターには「この店舗で買う理由」付けがないと、継続した購入には繋がらない。
オリジナルブランド商品は、徹底的に魅力を伝える
食品や健康食品などの自社・無名ブランド商品を扱う店は「オリジナルブランド」に分類される。知名度もなく食品を扱う場合、スーパーが最強のライバルとなる。「近所で似たような有名商品を売っているのに、なぜわざわざ通販で無名商品を買わなければいけないのか?」。この問いに答えられないと、スタートラインにも立つことができない。
解決するには、興味を引く実績や作り手のこだわり、製造工程、産地、原材料などの情報開示が必要になる。また、「お客様の声」のような客観的に信頼を証明する情報も掲載した方がよい。オリジナルブランドを販売するのはハードルが高いが、商品力が高ければ「そこでしか買えない」ことも強みとなる可能性がある。
信用を得ながらリピートを増やす基本施策
- 商品のアピールポイントをまとめた商品ページ。単なる商品スペックの紹介ではなく、「買うべき理由」の提示が必要。
- 小量かつ低価格のお試し商品を用意し、メルマガから商品へ誘導する。
- 売り手自身の自己紹介も信用を高めるために必要。
集客媒体は「CPO」で評価する
広告など集客への投資は、「購入客一人あたりの広告費」で効果検証を行う。費用と購入客数さえ把握できれば、異なる集客施策も全て同じ基準にて比べることができる。
- CPO(Cost Per Order)の計算式
広告費÷購入客数=購入客一人あたりの広告費
さまざまな集客媒体でテストを行い、儲けと比較しながらCPOの情報を蓄積していけば、どの媒体を継続的に使うべきかが見えてくる。
ただし、CPOは低ければ良いとは限らない。例えば、5,000円の商品と300円送料無料の有料サンプルのCPOは、後者の方が当然低くなる。その後のリピート率まで見ないと良し悪しを判断することはできない。
CPO計測の正しい考え方は、「同じ商品・同じリンク先ページ」でさまざまな広告媒体に出稿して「どの媒体が一番有効か」を判断するというもの。
自店舗の強みを分析して店舗コンセプトを考える
ユーザーは一度に多くのショップを見比べるので、店の強みは一瞬で伝える必要がある。もし実店舗があるなら、常連さんの顔を思い出して、どんな人か?どんな商品をよく買っているか?などから強みを想像する。
コンセプトを踏まえた上で、自店舗の客層を何種類かイメージし、具体的なキャッチコピーを作成する。客層は、年齢や性別だけではなく、「その人が、自店舗の商品を買ったとしたら、それはどんな動機だったか?」と想像を膨らませて具体的に考える。
客層と購入動機のイメージができたら、品質、価格、利便性の観点から、その客層に支持されそうな強みを探し、キャッチコピー化していく。
「入口商品」からリピート購入への流れを設計する
知名度もない始めたばかりの店舗の場合、まずは安価なお試し商品や送料無料など、購入のハードルを低く設定してとにかく買ってもらう必要がある。
リピート率を高める入口商品は、まずは買いやすくするために、単価を低めに設定し、送料込みにするのが基本となる。
無事に購入してもらえたとしても、自発的にリピートするケースはまれなので、同封チラシやメルマガなど、商品本体以外での仕掛けが必要。価格を低めに設定して購入ハードルを下げる商品とは別に、複数の商品を少しずつまとめたようなお試しセットを用意することも、リピートに繋げるために重要な施策と考えられる。
「BEAFの法則」で売れるストーリーを作る
商品ページのあるべき構成・適切な順番は「BEAF」で表現できる。
- 購入メリット(Benefit)
商品利用シーンの描写、魅力的な写真など - 論拠(Evidence)
マスコミ実績、ランキング、お客様の声の引用など - 競合優位性(Advantage)
品質、価格、利便性など世間の相場と比べてアピール - さまざまな特徴(Feature)
色、サイズ、賞味期限、内容量、素材、成分など
ユーザーの反射的な感想を踏まえて、ページを構成する必要がある。(どんな商品なのか?本当にそう言えるのか?似た商品もるのでは?など)
購入メリットは、「この商品が、そのユーザーにとってどんなメリットをもたらすか」を突き詰めて考える必要があり、店舗目線ではいけない。対象となる客層の生活を具体的にイメージし、リアルな購入メリットを見つける。
まとめ
ネットショップといっても、取り扱う商材や規模によって作り方や運用方針も変わってくるが、基本となる法則はおさえた上で、商品タイプ別の集客方法や店舗紹介ページに盛り込むべき内容が紹介されていて参考になる。
とくに、知名度もないようなオリジナル商品で、一からネットショップを開店する場合、まずはショップに来店してもらったあとに、初回購入をしてもらうまでが大きなハードルとなり、さらに購入された後のフォロー施策が重要になってくるが、「魚鱗の陣」や「鶴翼の陣」など、店舗の特性に応じた集客方法や商品ページに盛り込むべき情報など、具体的に実施できるアイデアがある。
立ち上げ前から立ち上げ後まで、進捗状況によって定期的に読み返してショップ作成に反映していくようにしたい。